9月7日。雨宮天さんの1st Album 「Various BLUE」が発売されました。
一通り聴いての感想は、タイトルに偽り無し、雨宮天さんの歌声によって様々な世界が作り出されています。聴いていてそれぞれが全く違うものを訴えかけてくるような、それは声のトーンや歌詞であったり。この表現力が、これまで彼女が歩いてきた道で得たものなんだなと思うと、これからが今まで以上に楽しみになりました。
これから書くのは、アルバムで新たに描かれた6つの青について。その、第一印象。正直、聴いた回数が少な過ぎて、完全に理解しているわけではないので、あくまでも第一印象。きっとこれから繰り返し聴いたり、ライブで聴いたりすることで変わっていくのかなと思います。それもとても楽しみ。
以前、アルバムの曲順には制作者の意図があるからその順番通りに聴いてほしい、と言われたことがあります。きっと、他の曲との干渉で青をもっと鮮明にできるのかな。ただ今回は、それぞれ単体としての印象を書きます。順番通りに聴いての印象はいずれ。
Absolute Blue
新曲の中で、一番最初に公開されたリード曲。サビの「廻る命逆らって」あたりの廻ってる感がとても好きです。ラスサビの「Absolute Blue」が落ち着いていて、1番2番の激しさが失われてるのも印象的。歌詞カードを見たとき、?が多かったのがすごく意外で、Absoluteというタイトルからかけ離れていてすごく不思議でした。
思ったのは、絶対的な青は目指しているものなのかなと。「揺るぎのない未来が待ってる」とか、まるで今は揺らいでるかのよう。
そして、この曲がリード曲であることを考えてみます。どこか激しさの仮面を被っているかのような、揺らいでいるかのような、タイトルと相反する未熟さを描いていて、それはつまり、ここ(Various BLUE)は終着点ではなく、通過点だと言うかのよう。まだまだ描ききれていない青がある、もっと上を目指したい、そんな歌だと感じました。だから、「いつか Absolute Blue」。
羽根輪舞
アルバム情報が公開された中で異彩を放つこのタイトル。フェザーロンドと読むんじゃないか、と思っていたら本当にそうでした。ジャズバーでスタンドマイクを握りしめて歌う姿が目に浮かびます。色めかしい歌い方に引き込まれています。
歌詞の要所要所で過去形の言葉が使われていて、過去に思いを馳せているような印象。
聴きながら書いていたら気付きましたが、時計の針が動く音が聴こえてきます。まるで終わりに近づくかのように。刻限へと近づいていく針。しかしそれが最後には聴こえなくなっているのは、まだ終わらない、ということを表しているのでしょうか。
羽根は空を飛ぶためのもの。そんな羽根が「舞い落ちる」ということは、飛べなくなるということ。羽根輪舞、失われゆく羽根が最後に見せる輪舞。
どうにも、終わりの曲という印象を強く感じますね。ライブで最後だったらびっくりします。
ASH
イントロがすごく好き。悲しい決意に感じるのは、こういう曲調の特撮劇伴がそういう場面で使われるからかな。「灰になるまで」とか、どうしても灰になる怪人を思い出していけない。
タイトルがASH、灰だったり、歌詞にモノクロとあったり、ほとんどが色のない過去を描いている印象。しかし、心の支えになる「あの日の歌」があって、だから前を向く。サビの歌詞だけから、未来に色をつけようという、そんな決意を感じました。たとえ、色を重ね過ぎて再び灰になろうとも構わない。
「ash to ash , dust to dust」の囁いているようで力のある歌い方がすごく好きです。
Silent Sword
誓いと向き合う静かな歌声、前へと突き進む、剣戟のごとく激しい歌声。そのハーモニーがこの歌の世界を描き出しています。
沈黙の剣。でもあまり剣そのものは感じませんでした。ちょっとその意味を考えてみたい。
曲げることない意志、過去の誓い。それは決して口にしないけれど、胸に宿り続けるもの。口にしない、声に出さない、声にならない。
がむしゃらなハート、情熱という刃。プライドという柄。昂る思いや感情。その剣を動かすのは。
Silent Swordとは、胸に秘めた思いが生み出した激情、みたいなものかも。
After the Tears
Tears(涙)という言葉に引っ張られて、どうしても悲しい曲を連想してしまうけれど、この曲はAfter、涙を流した後の物語。
涙を流していた自分に差し伸べられた手。孤独から解き放ってくれた手。その人の存在が、自分の中の苦しみを和らげて、勇気をくれる。その勇気は決して消えない。その恩返しとして、歌い続けよう。そんな私の夢。
誰かが誰かを思い、思われた人が同じように思いを届ける。そんな絆を歌っていると感じました。
3人の関係性を思い出しました。ずっと届くと良いな。
RAINBOW
12曲目、最後に相応しい曲だなと。メロディーだったり歌い方だったりが終わりを描いている。でもそれは続きある終わり。
初めて聴いたときに、青空を見たときと同じ開放感を感じて。聴き終わったときにはこの曲が最後で良かった、と。
この歌の虹というのは、感情のことなのかな。哀しみや歓び、いろいろな感情があって、それぞれに色がある。その感情が、色が束になり、虹を作り出す。
歌詞を読みながら、歌への印象をここまで考えたのは初めてでした。まだまだ浅いけれど、こうして書き留めておくことで、新しい考え方を持ったときにいい振り返りができるかな。MVやメイキングについてもいろいろと書きたいことがあるので、その辺りもいずれ書き留められればと思います。
さて、週末はトラハモイベント。月末にはVarious SKY 大阪公演。そこで知ることになるであろう青達の別の一面に、今からわくわくしています。
そしてその先の、まだ見ぬ青にも…!