あのライブから10ヶ月。OVA、そしてSwitch版を携えやってきたその日は、まさに蒼空が広がっていた。
会場はCLUB SEATA。2016年のモルフォライブと同じ場所。まさかここに帰ってくるとは思っていなかった。ここは今までで一番好きなモルフォライブが行われた場所。1年半以上の時を経て再び辿り着いたこの場所で、謡精は一体どんな演舞を見せてくれるのか。否応無く、期待は高まっていた。
決して不安要素がなかったわけではない。演者を取り巻く環境の変化はここにも波及する。それが何をもたらすのか… 取り越し苦労だったと知るのは終演後のことである。
〜開演前
CLUB SEATAに入る階段の時点で懐かしい。そうそう、こうやって並んでいた。定刻通り列形成が始まり、程なくして中へ。長い物販(開演ギリギリまで続いていたそうである)を抜けて客席へ向かうと、見慣れぬ舞台。中央が少しばかり客席にはみ出ていた。
2時間というのは長すぎる待ち時間である。しかしながら、物販が捌ききれなかったことを考えると、インティにしてみれば短いのかもしれない。あれ以上物販スタッフも増やせないし、難しいところだ。事前物販をしてしまうと先行販売のものがさらに早まってしまうので、できることではない。
開演まで会場内ではガンヴォルトの劇盤が流れていた。一応曲目をメモしたのだが、ドラマCD劇盤など曲名がわからないものが多かったため、ここでは割愛する。
開演
カーテンが開いて現れたのは、なんとイオタ(演:中村たく氏)。デイトナ(演:川上晃二氏)も合流し、開演前諸注意を行った。ここでデイトナからとある話があったのだが、これのおかげで良いライブになったのではないかな、と思う。ありがとうデイトナ。
入れ替わりで登場したのは皇神電子交響楽団とロメオ(演:牧野秀紀氏)。ロメオによる独特な煽り。これがないとモルフォライブは始まらない。
そして遂に、電子の謡精が現れる。流れるのは、この場所以来となる曲。
1.蒼の彼方
モルフォライブのスタートといえば、やはりこの曲だろう。
全ての始まり、3DS版ガンヴォルト。それを象徴する曲。ここから始まった歌姫の旋律は、いつになっても色褪せることはない。
たった10ヶ月だが、何というか変わったな、と感じていた。蒼の彼方へ、を歌わせるときの煽りといい、彼女自身の歌声といい。プログラムがアップデートされたのだろうか。もしそうなら、それを促してくれた方々に感謝するのみだ。
2.空白書板
最古の曲から最新曲へ。その間の時間差を感じさせない、確かにこれもモルフォの歌だとわかる。それは曲の作りもあるのだろうが、何よりも変わりゆく中で変わらなかった、謡精のコアのおかげだろう。
青と赤の、という歌詞で青と赤のサイリウムをそれぞれ振ってみたり。
フルは来月発売のようである。早く聴きたい。
3.菫青石
少し遡って爪へ。発表されていた中では唯一の爪初期曲となった。
この曲だったのは人気だからだろうか。私も好きだが。
個人的な話だが、東から昇りだす、で反対側を指差したのを見て、次の西に向け走り出す、でこちらを指差すだろうと思った。なので指差すタイミングで指差しを返したら見事に合ったのだ。今回のハイライトだと思う。
4.追憶の心傷
追憶の心傷!、と叫んだ後に聞こえるオッケー!が懐かしい。さっきから懐かしいとばかり言っている気がするが、実際懐かしいのだから仕方がない。
なんか増えてた気がするけどあまり好きではない、がモルフォが煽るのだからやるのみ。個人的に、モルフォの曲には合わないと思うのだけれども。
5.紅色カゲロウ
ライブ特有のイントロ。これだよ、これ、という感じ。曲名を叫ぶ曲が3連続でこちらもどんどん高まっていく。
このあたりで気づいたことだが、曲ごとの表現が明らかに変わっていた。ただ聴いていたいと思える歌声や、曲への想いがこもった表情。なんというかこう、嬉しくなってしまうのだ。
6. 天照の威光~猛る炎獄
イオタとデイトナのMCを挟んで流れて来たのは当然この曲。
ライブ専用アレンジになったことで、ただでさえかっこいい曲がさらにかっこよく。
皇神電子交響楽団のパフォーマンスも迫力満点で、演奏もあいまって見るものを圧倒する。
ここで横のスクリーンにアニメPVが。バックで流れるのはアニメのテーマソング。いい音響で見るとまた違う。アニメの上映会をまたやってほしい。
7.真実≒現実
モルフォライブ後半1曲目を飾るのはこの曲。
OVA前半が公開されたのがちょうど前回のモルフォライブの時で。あれからOVA公開、DVD版付属、BD発売と瞬く間に過ぎて行って。是非とも2話につながってほしいところ。
そして、これからのモルフォライブで他のアニメ曲も歌われるといいなと願う。
8.成層圏
先にRoRo版が発売されていたこの曲。知っている曲なのに知らないイントロですごく不思議な気分。
ほら、そこに見えているから。
次はこちらが歌う部分をしっかり覚えて行きたい。
9.櫻華爛漫
個人的に変わったな、と思うのがこの曲。
特に歌い方。この曲もまた1年以上歌われてなかったけれども、だからなのか、変化が際立っていた。唱えていたそれが、奏でられていた。
いつかあの場所で、という歌詞で、ここに帰って来たことを示しているような気がしてしまうのは流石に考えすぎだろうか。
10.輪廻
締めはやはりこの曲。新章ではなくこちらだというのがまた憎い演出だ。
GVとモルフォが一体となるように、ステージ上のモルフォと客席の応援<エール>の第七波動が重なる瞬間は、何にも変えがたい、最高の瞬間なのだ。
アンコール
さすがに捌ける前からアンコール、とはならなかった。またバンマスに早いと言われてしまうところだった。
11.惑いし不夜街
最早恒例となったこの曲。サイリウム公開時点でなんとなく察しはついていた。
いつか復讐の銀弾、断罪討滅とつながるメドレーも聴いてみたい。
12.藍の運命
やはりこの曲を聴かないとモルフォライブは終われない。
撃ちぬいた暗黒もだったり、綺麗な間奏だったり。
一番好きなこの曲を最後に聴けるという喜び。
全体感想
爪のライブから10ヶ月、一部の曲に関しては19ヶ月ぶりとなった今回のライブ。開催地が昨年頭と同じだというのも個人的には驚きで。てっきり各地を転々とするものかと。今後ここがホームと呼べるようになるといいな、と思うのは、個人的にここでのライブが好きだという思いが強いからかもしれない。
ステージの照明がいい仕事をしていた。というのも、各曲のサイリウムと同じ色に光っていたのだ(空白書板は赤だったが)。会場を曲の色で染めてしまう様は、ある意味電子の謡精に支配されているかのよう。やはり我々は能力者で、謡精の力を受けてしまう体質なのだろう。
他に特筆すべきは、モルフォのアップデートだろう。たった10ヶ月で、ここまで変わっているとは思ってもいなかった。歌声に想いが乗り、心に突き刺さる。物語との親和性が強い曲が顕著で、いろいろなものを思い起こさせてくれる。明らかに去年とは違うその表現力に、これまでのことを思い出す。そしてその変化に、彼女の努力を感じるのだ。
進化<アップデート>し続ける謡精の歌声が、もっと広い世界<ステージ>に響き渡ることを、ただただ願う。