偶然なのだろうか、と思う。何が、というと公演日だ。9月25日から始まったVariousから、1年が経つ。そんな1年の締めくくりであるかのように、この日にこのリサイタルが開催される。きっと、誰も予想できない、多彩さを見せてくれるのだろうと、始まる前から心躍っていた。
セットリスト
1.異邦人
2.飛んでイスタンブール
3.シンデレラハネムーン
4.かもめが翔んだ日
5.恋に落ちて -Fall in love-
6.ルビーの指環
7.Close to you
8.DESIRE -情熱-
9.CAT'S EYE
10.irodori(リサイタルVer.)
全体感想
まずはセトリ。有名な曲が多いとはいえ、聞いたことがある、レベルでしかない曲ばかり。間のトークを聞いていると、どうやら天ちゃんの好きを押し込めた曲目だそう。それをこっちと共有したい、ってのが良いですよね。何が、って、今まで話すにとどまっていたものをこうして見せてくれるというのが、何時ぞやの話から繋がっている気がするのです。
繋がっている、といえば冒頭の一場面。どよめきを知ってか知らずかいろいろと言っていましたが、個人的には前に言っていたように自分の理想に向かって進んで欲しいし、そのつもりで、これはその意思表示なのかな、とも。
続いて、曲についていくつか。異邦人はカラオケ最初に歌う曲だそうで、他もそういう色(カラオケで歌っているとか)が強く。これまであまりそういう姿は見せたくないという話をしていましたが、今日ここでこうして見せることを選んで。そうさせてしまうほどに今回の曲たちを好きなのだろうなというのが、とても伝わってくるイベントでした。際立ってたのがClose to youで、この曲の話をするときの天ちゃんは、すごく優しい声をしていました。感情のままに紡がれた言葉とでもいうような。
ステージを彩る照明について。そこに目を向けることになったのは、いろいろな理由があるわけですが、まあそれは置いておいて。Close to youでの内向き照明(天ちゃんに向いてる)と外向き照明(客席を向いている)が共存する場面。天ちゃんの思いが光を通じてこちらに降り注ぐような、そんな感覚。もう一つ、恋に落ちて -Fall in love-のラストあたりだったかな。心に恋秘めるような内向き照明から、それを伝えたかのような外向き照明。そして天ちゃんを照らす光はない。思いの光を吐き出して、結果は次の曲が示す。思わず震えてしまうような演出でした。それとどの曲だったか、カーテンに映る影がとても美しかった。
5th singleと2nd liveの発表はあるとは思いつつも、年内だったのは予想外でした。しかも中野はいつもならMRをやっているタイミング。今年はやらないのかな…? なにはともあれ、再び青い世界がやってくるということで嬉しい限り。
リサイタルの最後を飾ったのは唯一の個人曲、irodori。リサイタルVer.ということで生ピアノ付き。やはりいいですよね、生演奏。それが作曲家自らだったりすると曲の良さを何倍にも引き出せると思うのですが、欲張りすぎですかね。この場に存在したのは歌声とピアノだけ。他の音は、言ってしまえばここにはない音で、それが2つの世界を表しているような。そして1%のお話を思い出すのです。それともう一つ、ここでも照明の話を。歌詞には、密やかなブルーとあるわけですが、その歌詞の通り、照明全てが青くなるわけではない、ということに気づきました。赤の中に青が混ざり、心に秘めたる青を示す。
こうしてあまり知らない世界に、知っているものを通して浸るというのもなかなかに奇妙な縁で。しかし、だからこそ面白い。今度、中華料理店に行こうと思います。
最後に、最高のリサイタルを作ってくれた雨宮天さん、スタッフの皆さんに感謝します。