これを書くにあたって、いつもどんな形で書いていたかなとOdysseyの記事を振り返ると、2019年8月17日と記されているではないか。およそ1年半。ここまで来るのに、とても時間がかかってしまったなと、今置かれている環境の厳しさをより一層感じた。だが、こうしてここに新たな1ページを記しているということは、航海の始まりを告げる汽笛が聞こえたということでもある。希望という名の航海の。
今回の会場は、TrySail初となる代々木第一体育館。自身としても初めて訪れる場所だ。場所を調べて、真横にNHKホールがあることに驚いた。もう4年も前になる。懐かしいものだ。
初めての場所でのライブというのはいつも期待に満ちている。場内も場外も新鮮で、ステージはどんな風に見えるのだろうとか、周りには何があるのだろうとか。現状ではその半分は楽しめないわけだが、仕方がない。いつかもっと色々な場所で両方を楽しんでいきたい。
場内に入ると、Habor x Arena以来の大型スクリーンが鎮座していた。灯台のある岬が映り、時は昼から夕方に、夕方から夜に変わる。それに合わせてライティングも変わって、見事に印象を豹変させる。まるで本当に時が移り変わったかのように。それだけで、このライブがどれほどのポテンシャルを持っているのか、察することができてしまうほどだった。
朗読劇
灯台が辺りを照らし、3人のナレーションが始まったかと思うと、そのまま朗読劇へ続く。久々である。個人的には朗読劇がある方が好きだ。声優としての姿も観れるのだから。
楽屋でのちょっと不思議な、それでいて心温まる物語。TrySailが、原点へ立ち帰る。
初日は5年前へ。2日目は5年後へ。前者はともかく後者はさすがにもっと未来のような気がしなくもないが、そんな並行世界もあるのだろう。
過去から今、そして未来へ。普遍的なTrySailの在り方、想いを繋ぐ。我々は今しか伺い知ることができないけれど、本当の未来でもきっと、そう在るのだろう。
1.Sail Out
朗読劇の内容に紐づいて、1曲目がこれ。頭を抱えるくらい綺麗な選曲である。3人でのSail Outから、会場の全員でのSail Outへ。
確かに流れる月日に身を任せすぎて、見失ってしまったものはあるように思える。それを朗読劇とこの曲が思い起こさせてくれた。今回はそれを取り戻し、次へと進む航海でもある。
2.BraveSail
早速スクリーンを活用するこの曲が登場。スクリーンに一面の海が広がったのに感動したのを今でも覚えている。
てっきりChip Logあたりと交代するかと思っていたが続投。初めて聴いた時から思っていたが、3人の関係性の表現は見事だ。
改めてスクリーンに注目していたが、海上を3つの船が進んで行くのを見て、とても懐かしい気持ちになった。BraveSailといえば、木製船に3人仲良く乗っていくものなのだ。
3(day1).Baby My Step
会場の一体感を高める一曲。まさかこんなに早くこのイントロが聞こえてくるとは思わなかったし、1日目だけとも思っていなかった。
随分前にBabyの長から直接レクチャーを受けたからなのか、この曲の振りほど覚えているものはない。
3(day2).WANTED GIRL
2日目も一体感を重視した曲が登場。
1!2!3!の振り付けはもうお馴染みだが、それも長きに渡る3rd tourのおかげかな。などと思ったがよく考えれば2nd tourでも歌われていた。最近の曲というイメージだが2nd albumの後、最初に出たsingle曲なのだから意外と年季が入っている。
サーチライトが最も映える曲だと思う。ステージを縦横無尽に動き回ることもあって、怪盗感増し増し。
世間を騒がす怪盗さ。
ようこそのくだり。
4.パーリー☆パーティ
イントロ聞いた瞬間に久しぶりだなと思った。
スクリーンがあるからもちろんマカロンドラゴンも当時の姿で登場。やっぱりこれがないとね。まさかの姿に驚いたのも懐かしい。
5.Truth.
正直前曲から繋がってこの曲になるとは思いもしなかった。
聞いてるとBEATLESSの物語がすぐに蘇ってくる。人型機械はここ数年題材になりやすい気がするが、どれも機械とは思えないくらい魅力的に描かれていて。
そんな作品たちのキャラクターに当てはめて聴いてしまうと、すごく響いて来てしまう。
6.CODING
クロスフェードでこのイントロが入って来た時は心の中で拍手喝采だった。
ダンス3連ということでずっと振りコピが楽しい。
衣装チェンジを生かして、メッセージ読みへ。
受け取った想いを3人が自分なりに返すかのような語り、そして。
7.あかね色
MCから見事につながって流れて来たのはこのイントロ。遂に来た…
前回披露のHabor x Arenaではハモり版。なんと原曲での披露はThe Age of Discovery福岡公演以来である。そりゃ待ち望む人が多いわけだ。
会場がオレンジに染まり、スクリーンが3人とそれを合わせて見事な画を生み出す。
夕日に包まれて微笑み合う3人の姿が、昔見た、好きになった頃のTrySailそのものであって、感動していた。
8.azure
明日世界が終わるとしたら。
3rd tourの頃には考えられなかったことが、現実では起きている。その歌詞が現実になってしまうのではないかという不安。
だがこの曲が最後まで歌われることで、それは反転し、希望へと変わっていく。
9.明日も晴れる
そう、世界は終わらなかったのだ。
ピースと笑顔。
2番の歌詞なんかが今にぴったりでぐっとくる。
最新の曲を、ということで。
10.うつろい
Go for a Sailでもなかったこの曲がついに初披露。
サビだけスクリーンの映像がカラーになるのが好き。
苦しそうな振り付けとか、表情とか。5年の進化を最も感じる曲だった。
11.ごまかし
LisAniの映像で見たことはあったが、現地で見るのは初めて。
サビの「涙も迷いも」の振りが好き。
この時のモノクロな衣装はこのパートのためにあるのかなと思っていたりした。
12(day1).コバルト
久々にイントロを聞いた。
コバルトを聞いて振りコピしてるとTrySailのライブだな、という感じがする。サビの振り付けを真似したいと一番最初に思った曲ではないだろうか。
ちょくちょく3rd Liveの光景が思い出される。
12(day2).かかわり
マギレコ3連上手い。いつかやってほしいと思っていたがこんなに早く来るとは。
やっぱりこれもサビの振りコピが楽しい。
とても好きな曲なのだが、何がどう、と言われると言葉に窮する。いつか言葉にできる日が来るだろうか。
13.High Free Spirits
往年のコバルトハイスピが再び。
この2曲が並んでいることに感極まってしまった。
1st tourでもやっているが、思い出すのはやはり3rd live。昔は大変みたいな話だったのに、今では互いになんてことないのだから、5年の月日がもたらしたものは多大だ。
衣装の一部を脱ぎ捨ててカラーを出したところで、 ここから後半戦。ふと思ったが、前半後半ではなく、中盤もある3部構成なのだろうか。
14.whiz
この曲まで並んだらもう3rdよ。曲順は違うけど。
この優しい、風に包まれるようなメロディが気持ち良い。
15.バン!バン!!バンザイ!!!
全肯定の曲。
思いっきり、とはいかずとも、バンザイするのは気持ちいいのだが、同時に運動不足を感じてしまうのだった。
16.Sunset カンフー
この環境下でも修行は絶やさない。
いつも聞こえてこないところが聞こえて来るのが新鮮で、ずっとこのままでも良いくらい。
17.adrenaline!!!
この曲で声出せないのってなかなかきついね。
でも声を出すばかりが楽しみ方ではないし。これもまた新たな発見。
この曲のコールが未完成だった頃を思い出すようで、純粋に楽しかった。
スクリーンの文字から最後のeが抜けていたが、2日目は直っていた。
ただいま、おかえり。どことなくあの曲なインストから。
18.Free turn
CDで聴いて感動して、劇場で聴いて感動して、ライブで聞いて感動した。
一抹の寂しさを曲の全体から感じはするものの、イントロとアウトロでは全く印象が違って。前を向いて、この曲は終わる。
劇場版ハイフリがすごく良くて、何度もCDで聴いていたにも関わらず、最後に流れたこの曲が急に胸に刺さるようになって。
作品と曲のリンクが強くなり、曲が様々なシーンを思い起こさせてくれる。これこそがアニソンの醍醐味のようで、だからこそ胸に深く刻まれていく。
手拍子アンコールから、始まったのは過去ライブのダイジェスト。
初参加だった3rdの映像でまた感極まってしまう。懐かしの逆風探偵、名探偵モチョン。何よりもあのステージセットだ。色々なシーンが思い出される。
と思っているとほぼ真横で開催されたアマイセイルの映像まで。ブログを始める前に行ったのでレポートが残っていないのが残念だ。
1st Liveの演出を引き継ぎ、カウントダウン。そして3色の光より現れる3人。
EN1.Youthful Dreamer
やはり、とはおもったが、次の瞬間には驚いた。1stの映像を並べてくるとは。初日は本人たちも知らないのだから尚更。
ほとんど変わらないのがすごい。一部動きに違いはあれど、フォーメーションにタイミングに、過去の3人とぴったりだ。
何気にこうしてしっかり聞くのは久々で、ライブでのこの曲の良さを再確認した。
EN2(day1).disco
これは明らかにメッセージからの流れ。
史上最長のこぶしをきかせた天さんはお見事。
EN2(day2).僕らのシンフォニー
そうそうこの曲はこの立ち位置なんだよ。
初めて聴いた3rd Smoothがまさにそう。あの頃からこの曲めちゃくちゃ好きだったよ。サビの振りはこうやってほしい、みたいな3人のブログがあって、頭に入れてライブ行って、みんなでそれをやる。その一体感が、まさに交響曲のようで。
君が最後にみんなになるのが本当に好き。
挨拶。受け取らせていただきました。
EN3.この幸せが夢じゃないなら
大型ライブでの披露は初となったこの曲。
過去今未来を超えて、TrySailの3人それぞれと、我々の、願いが具現化したかのような歌。
夢で終わらせないために、現実に刻み続けていくのは、僕らだ。
全体感想
初日の過去編から始まり、2日目の未来編まで、一貫したストーリー性をTrySailのライブで感じたのは初めてだったように思う。その軸にあるのは、今。
どうすることのできない今に、互いが互いに生きていること。そしてこうして巡り会い、同じ時間を共有すること。それがいかに儚く、美しいか。それがわかった今だからこそ伝え合う。
ありがとう。
最後に、改めて。最高のライブを作ってくれたTrySailのお三方、スタッフの皆さんに感謝します。