時計の針は、いつからか止まっていた。
忘れもしない、2020年6月のこと。5th Anniversaryと銘打ったライブは、その冠のせいで大きな意味を持っていた。持ち過ぎていた。それなのに、あっさりと、崩れ落ちてしまった。
一旦はSTUDIO LIVEとして供養されたものの、彼女たちが立てなかった、新たな場所がどうにもちらつく。まるでそれをわかっていると言うかのように、2021年のツアーリストに会場の名があった。
その瞬間から、針は動き出す。あの時の因縁を、リベンジを果たすために。
会場の場所を調べ、最寄駅の名を見て驚く。かつて、DATE A Fesでディファ有明に来たときに降りた駅だ。何と奇妙な縁か。既にディファ有明はその姿を無くしてしまったし、周辺の様子もかなり変わったが、それでも懐かしかった。
てっきりガーデンシアターだけで建っていると思っていたのだが、まさかの複合施設だった。しかも、ショッピングモール側でTrySailの曲を流してくれているではないか(余談だが、シアター側でも曲を流していてそれぞれ全く別の曲なのが少し面白かった)。
入場待機列で上を見ると、ガラス張りなことに驚く。外からシアターのある2階に上がるためには階段しかないのも含めて、随分とデザインの凝った造りである。
場内に入ると、思ったより狭いアリーナと競り出たバルコニー席の構造に驚く。少し違えど、アンフィシアターのような気配りを感じる。
いつものように(まだ来たの2,3回目だけど)壁とリボンが降ってきて(降りてきたリボンがずっと揺れてて重いんだろうなと思った)プレゼントボックスが生まれ、その中からRebo(r)n。
1.Re Bon Voyage
疾走感があって、始まりにぴったりなイントロ。
ここまでの航跡を振り返りながら、現状に満足せず生まれ変わりながら前へと進み続ける。TrySailらしい姿勢が反映された歌詞がこの先への期待を高める。
0、選んでみたいな。
2.バン!バン!!バンザイ!!!
本当にバンザイしてる3人の表情が楽しそうで。
天さんの渾身のバンザイ、見てて気持ちいいというか。会場の熱に浮かされ、リミッターを外してしまう様が、ライブっぽい。
ナンちゃん、あっちにこっちに笑顔を振り撒きながらお手本のようなバンザイを見せて一体感づくりに貢献していて、なんだかんだで潤滑油なんだよなと思った。
久々に長尺バンザイ、したくない?
3.High Free Spirits
やっぱり原体験なんだと思う。
ライブでやるこの曲って本当楽しくて、リズムに合わせてブレード振ってみたり。ナンちゃんの会場名叫びでギアが一つ上がったり。
TrySailのライブめちゃくちゃ楽しいじゃん、という3rdの時からの気持ちがこの日はなぜかより濃く感じられた。
東京公演というのは久々という話。パッと浮かんだのがHeadwindの国際フォーラムだったので、実際ほとんどないんだと思う。だいたい横浜か千葉で関東はいっか、って感じ。
3人が今改めて自己紹介をしたらどうなるのか、それはそれで気になる。
4.Favorite Days
僕はRBVだとこの曲が一番好きですよ。
これもマイハートもGLDも雰囲気似てるけど、ライブを歌にしたら、っていうのがこの曲のような気がしている。
Can you? Can you? Make Favorite Days? Off course! I can! Here we go! が好きなんだよね。
5.sewing dream
何を描いてるのかやっとわかったかもしれない。と1日目は思っていたのだが、残念ながら2日目にまたわからなくなった。いい加減にBDでしっかり確認するかな…
6(day1).センパイ。
やっぱり振り付けが可愛いんだよね。
今回はどんなバカ!なのか、それを聞くのが毎度の楽しみ。
やっぱり、君じゃなければよかったな、で手を伸ばしたまま後ろに下がって距離ができる振り付けは天才だと思う。
全部全部全部、の後に何も言わないのも、何を言うかわかるからこそ良くて。この日はここを聴いた時により衝撃を受けて少しフリーズしていた。
6(day2).whiz
振り付けの性質は次曲に似てるなと思った(day1で先にオリジナル。の振り付けを見直したこともあって)。
変な話かもしれないが、Re Bon Voyageの新曲たちにwhizやオリジナル。に近いものを感じていて。曲調は明るいのだけど、しっかり読み解くと重いというか、その重さを跳ね返そうという意志を感じられるというか。
7.オリジナル。
飛び跳ねるような振り付けが結構好き。明るいというか、浮かれているというか。
秀逸な歌詞が光る1曲なんだけど、その重さを感じさせないのがすごいところ。
8.モノラル
衣装が少しドレスのようになって。
上に登っていたナンちゃんが手すりによりかかって、ベランダで黄昏ているかのような姿を見せたときは、その風情に息を呑んだ。
9(day1).ごまかし
手で仮面を作るような振り付けが好き。
最後は仮面を被って終わるわけだけど、その裏に何を隠しているのか。本心か。
単純だけど、前作のかかわりって単語が歌詞に入ってるのが良い。
9(day2).うつろい
一瞬イントロに悩んだ。
サビのドンドンドンっていう感じが好き。
どうしてもマギレコ楽曲は形容のしようがないんだけど、いつか形にできる日が来るかなあ。
10.Lapis
やっとシングルになる。
操り人形のように、歌い始めて立ち上がって、最後にはまた地に伏せて。
どうにか逃れようと激情が迸るのだけど、未だ手のひらの上。
赤くなる一瞬が、苦しみのよう。
11.誰が為に愛は鳴る
足踏みとクラップで一体感が高まったところに衣装チェンジした3人が登場。個性が出ていて好き。天さんがパンツなの、いいよなあ。
スタンドマイクでの披露なのが衣装と曲に合っていて、ロックな感じがした。
曲調も、歌詞も、ライブでの歌い方も、何もかも好きで、最近の曲では一番かもしれない。
仮面被ってる人のOPにできそうだよなあ。
12.Free Turn
誰が為本当好きなんだよなあ、と思っているところにこの曲を投げつけられると限界超えそう。
Double the Capeでも感じたが、聴くだけで劇場版ハイフリが蘇ってきて感極まってしまう。
ただいま、おかえり。いいなあ。
13.この幸せが夢じゃないなら
衣装が変わった話と、日替わりのアルバム曲紹介を経て、シングル通りの曲が続く、と書いていて気づいた。
3人揃って首を傾げるのめちゃくちゃ好き。
この曲もひだまりも似てるけど、立ち位置は全く違うと思っていて。この曲はTrySailとして3人で歩み続けていることを表現している気がするのだ。
14.未来キュレーション
髪をなびかせるの好き。
フォーメーションというか、ドミノの様というか、順番に同じ振りをしていくのがリズム良くていい。間奏の回るのとかね。
15.CODING
スクリーンに映る高速道路の夜景みたいな雰囲気がこの曲には合う。
激しい光の明滅もまた、この曲らしくていい。
深いことを考えずに、流れに身を任せてしまう。
16.マイハートリバイバル
アウトロに重ねてこの曲が入ってくるだけで、前曲の世界観を一瞬で上書きしてしまう。
歌詞があちこちに表示される、というのがまさにこの曲の世界だと思う。
これも勢いに任せちゃう(特にサビの振りコピ)んだけど、歌詞はすごく重い。
でもこれは応援歌だと思うんだよな。重いんだけど、どうにかもがいて跳ね返そうとして、なんとかぎりぎり勝つ、みたいな。ぎりぎりでも勝ちは勝ちだ、って。
17.Good Luck Darling
MCでも言ってたけど大人の女性だよね。荒波に揉まれながら日々を生き抜いていく。
これもまた、頑張れよ、ってことなのかな。
EN1.ひだまりの場所
この幸せが夢じゃないなら、がTrySailのことを歌っているなら、ひだまりの場所はTrySailとファンのことを歌っている様に感じている(Double the Capeの後に生まれた曲だし)。
それを、アンコールありがとうと1曲目に出してくるのが、全てを物語っている。
なんか、ステージの色がほとんど変わらないところを見るに、オレンジ一色で染めたい曲だよなあ。
EN2(day1).WANTED GIRL
可能と不可能のTag Chaseでナンちゃんが俯いていてまだ引きずっているのだろうかと思った。
EN2(day2).Baby My Step
君にアタック(妖麗戦士)。急にあんなことするからびっくりした。やっぱりBabyの長は違うな。そこからナンちゃんが歌えなくなるのが、TrySailのアンコールっぽくて良い。
指を振るのやっぱり好き。
EN3.君となら
3人の最後の挨拶から、イントロが被ってエンディングになる。
絶対絶対と2回も言うところに強い意志を感じて。
この曲すごく好きなんだけど、言葉にできないんだよな。
寄り添われている、のだろうか。
全体感想
終わって思ったのは、このツアー好きだな、ということだ。
最近忘れていた、純粋にライブを楽しむ気持ちとか、TrySailのことが好きとか、そういうものが心の奥底から湧き出てきて。まさに、ツアーのテーマである愛が溢れる。
個人的にはこのツアーへの参加はこの日が最後。しっかり目に焼き付けようと思っていたけど、結局いつも通りただただ楽しんでしまった。でも、それでいいのだろうな。
最後に、最高のライブを作ってくれたTrySailのお三方、スタッフの皆さんに感謝します。