頭に強くこびりついた光景がある。もう1年以上経ってしまったけれど色濃く、時に翼に、時に鎖に。
あの世界をもう一度見たいと思っていたことは事実。しかし、再び訪れる世界は決して同じではない。もしかしたら、あの影に縛られて越えられないかもしれない。そんな不安が現実になった時、歩速は遅くなってしまうだろう。
彼女はきっとあの時よりも高みにいて、だからこそ眩しすぎて、影にしがみついているならば消えてしまうだろう。
ある意味、あの世界を乗り越えなければいけないのは自分なのかもしれなかった。
〜開演前
実は、名古屋は着席指定だった。だから中野1日目が始まる時、今日は立っていいんだ!という高揚があった。中野2日目はいつもの連番者(この日は連番ではなかったが…)がいたこともあってかなり気楽に構えていられた。
名古屋で1曲目を待つ間、何がくるだろうとずっと考えていた。1stはSkyreachからの夢空で1st singleの世界を見事に表現したところから始まったし、安直に2ndだから2nd singleだろうかとか。
そんな予想を裏切って流れてきたイントロは。
1曲目:Velvet Rays
戦闘力高めで、という言葉が蘇る。そうか、Aggressiveだから、と納得する。
初めて手にした天さんのCDがこの曲で。バリナイサービス開始遅れによるリリース遅れはあまり気にしていなくて、本当に軽い気持ちで手にした覚えがある。
それを生で聴くことができたのがほぼ1年後で、その時はかっこいいなあくらいしか思っていなかったけれど、今はいろいろなことを感じられるように、受け取れるようになり。
サビに入った瞬間の、逆境、強い光とか向かい風を腕で躱すような振りが好き。
2曲目:Absolute Blue
初めて天さんの歌を聞いた場所で発表されたアルバム、そのリード曲。
絶対的な青を目指して進み続ける、その様が天さんに重なって。まさに攻め続ける、Aggressiveそのもの。
Velvet Raysとは光闇なんかの似通った部分もあったりして。でも、青はきっとそのどちらでもないのだろうけれど。
ようこそ、から中野では仕事納めてきましたか?とか。名古屋は場所について。
攻め、ではあるけれど、急がずまずはゆったりと。
3曲目:夢空
優しさを声で、表情で、舞台で表現する。
イントロから1番に入る直前の振りが印象的で。それと同じくらい、優しい夕日のような光、星の光、空を表したライトが印象的で。
4曲目:Glitter
優しさから一転、表現に窮するような表情をして混沌を歌う。
Velvet Raysのカップリングということもあって、ちゃんと聞いた曲としては2曲目くらいで、なんだこれ、と思った覚え。それとは別に、当時の天さんのブログ記事を思い出して、トゥルトゥルという一節が特別なように思っていて。今こうして改めて見ると、表現できないもの、と表現するのがいちばんのような気がするのです。
全身で鬱屈を表現しているようだと思っていたのに、足の動きが地団駄なのでは、と気づいたのは中野2日目だったり。
5曲目:RAINBOW
虹はある意味、混沌なのかもしれない。
名古屋でこのイントロを聴いた瞬間、驚いた。まさかこんな早くこの曲が流れてくるなんて、と。ライブを締める曲だと思っていたから。そんなイメージを覆してしまうのもまた攻めなのかな。
歌声、振り付け、バックダンサー、舞台、ライト、観客の声、振りコピ、それらを重ねて、まさにこの曲は虹になる。
表情がよく見えた中野2日目では、終わった時の天さんの笑顔に、良かった、と思ったりしていました。
ここまでの3曲、そこにあるものを総動員して曲の世界を作り上げていて。曲間にほとんど時間はないのに、3つとも全く違う世界があって。それを実現しているのは、彼女の役者としての部分なのかもしれない。
青振ってくださったり、虹作ってくださったり、とか。こう、一緒に作っていくのが好きなのかな。
ステージの上に用意されたスタンドマイクを見上げながら、スタンドを使える声優に、なんて話も。
6曲目:GLAMOROUS SKY
7曲目:熱情のスペクトラム
8曲目:High Free Spirits
さすがに変わるかなと思っていたカバー曲。最後まで変わらなかったけれど、だからこそ1日ごとに深みを増していて。
宣伝なんかを挟む様が少し意外だったのだけど、それだけ見てほしい、来て欲しいという思いが強いんだろう。
GLAMOROUS SKYのスタンドの使い方もさることながら、最後の余韻を残す歌い方が艶やかで。カバー曲は毎度毎度突き刺さるものを残していくなあ。
大人っぽいパートへ。4曲続けてと言われてすごく驚いた。
9曲目:月灯り
10曲目:コネクト(ジャズアレンジ)
11曲目:羽根輪舞
12曲目:irodori
中野2日目は座って、という指定が。いやまあ、名古屋も座ってたから、立ってたの中野1日目だけなんだけどね?
先に述べた、曲の世界の表現が顕著なのがこの4曲で。4曲で1つの物語にしてしまう、もともと独立していた世界が混ざって1つになった、それができるのは、曲の主人公を天さんが誰よりも理解しているからで。
月灯りでは、中野で気づいたけれど2番始まる瞬間に月が出て、1日目は満月だったけど、2日目は座ったこともあってステージのオブジェクトに隠れ三日月に変わって。
コネクトへとつながる幕間、天さんは衣装を纏い舞台へ歩いていくのだけど、中野2日目だけは雑踏の騒がしさが、雨の音が聞こえて。あの時の羽根輪舞月灯りを思い出してしまったり。
"ねっころんど"こと羽根輪舞、イントロ中はずっとステージが見えなくて、光が失せた瞬間にソファーに寝転がる姿を見た時はびっくりした。ダンサーさんを従えて、手を拒んだり、帽子を奪い取ってかぶってみたり、花には興味を示したりと傍若無人さを見せたりもして。
irodoriはMVの延長線上な気がして、従わせていたはずのダンサーに歯向かわれているように見えたり。ソファーの上という安住の地を離れなければいけなくなってるのとかからそういう風に感じて。でも、唯一歌うことはやめない。きっとこの一連の物語の主人公は、歌をとても大切に思っているのだろう。
カバー曲の紹介などをして、カバー繋がりかリサイタルにも触れて。そういった挑戦をし続けてこれたこと、できなかったことができるようになった自分に自信を持って、目標を立てて到達できない自分に絶望して、それでも前を向けたのは受け取ってくれる皆さんがいたから、という感謝を口にして。本当に自信がつくまではこれを繰り返すのだろう、とも。
13曲目:After the tears
自然と流れてくるのがこの曲だとわかって。あの時はこの曲にすべて詰まっていると言っていたけど、今年は溢れ出てしまうほどのものがあったのかな。
中野2日目でこの曲が始まる瞬間、一瞬暗転して、それでも天さんの姿はなぜかはっきりと見えて。天さんの存在感を強く感じたのでした。
曲前の、曲中の優しい声に心を溶かされるようで。
天さんがいうように、私もまた、天さんへの感謝があって。それを互いに伝え合え続けられるように、相応しく、というか身も心も引き締めねばな、と思うのです。
中野2日目ではだんだんとその時が近づいて来て、終わってほしくないと思っていたのでした。
ここからもっと攻めていく、ということで何がくるかなと思ったら、初めて聴いたあの曲が流れて来て。
14曲目:Skyreach
暗転の中、ダンサーさんが近づくのが見えて、光が戻った瞬間、天さんは青くなった…!
1年半以上前に初めて聴いた時、力強くて想いがこもっていた。
1st Liveで聴いた時、成長を見せつけられたようで。
今回はバックダンサーを従えていつもとは違う攻め方で、なんだか寂しくもあり、しかしその芯は揺るぎなく。
この曲につなげられる曲ってなんだろう、と考えていた名古屋。
あ、そうだ次あの曲だ、と思った中野1日目。
あの曲がくる…!とだんだん心の中で盛り上がった中野2日目。
15曲目:ASH
イントロが聞こえて来た瞬間、どうしようもなくなって。湧き上がってくるものがあるのに動けないそのもどかしさが辛くて。
眼前に再び立ったあの天さんが本当にかっこよくて。ソロ以外の場所で歌われそうにないな、と思っていたこともあって、2nd live発表からずっと待ち遠しくて。きっと、必ず、この曲を、あの姿を見れる。だからイントロを聞いたら本当にたまらなくて、灰になってしまうのではと思うほどの熱い想いが燃え上がって来て。
中野でその想いを形にできたことが嬉しくて、次がいつかわからない2日目は高く、高く。
この3日間で、サビと間奏で強さを、それ以外で弱さを表現しているような気がしてきて、聞くたびに曲への想いを深めている気がします。
16曲目:Marvelous scene
ラジオで公開された時に、この曲はヤバイ、と感じて。CDでフルを聞いた時にもヤバイと感じて、ライブで聴いたらヤバイぞ、と思っていたら本当にやばかった。しかも大好きなASHの後で聴けるなんてなんて贅沢な。
まだまだ聴き足りなくて、ちゃんとこの曲のことを理解できていないと思うので、もっと色々と考えていきたい。まだ聴ける機会はあるし。
天さんの最後の叫びで静まるあの瞬間が本当に好き。
すごく短いMC。次が最後ですくらいしか言わずに一気に突き進んでいく。
17曲目:Eternal
永遠。終わることのない挑戦を示すのか、それともこんな時間がまた訪れる事を示唆するのか。
終わった今、絶望で未来切り開け、という歌詞がとても意味深に感じられる。
一見出口のない無限回廊で天さんは戦い続け、いつか出口を己の手で切り開くのだろうな。
アンコール
叫びが日に日に増していて、リズムなんて関係なく、口々に言う様を見てそれほどまでに引きつけているのだなと。自分もまたその1人で。堪えきれず溢れていく止めどない青空。
18曲目:チョ・イ・ス
手を振りながらも、要所要所はしっかり締めて。というか、特徴的な部分、というのかな。不思議なもので、すごく真似たくなる。指差しもそうだし、クライマックスへのプロローグもそうだし。聴いていて楽しくなって自然と体が動く。
歌っている天さんがとても楽しそうで、きっとそれはこの曲の主人公がそうである以上に、演じる天さんが楽しいからだと思っていて。
中野2日目なんかは本当に素敵なクライマックスへのプロローグだった。
19曲目:Fleeting Dream
irodori発売当時のインタビューを振り返ってみるとあまりこの曲には触れられていなくて。ただ一つ書かれていたのは、キラキラしているということ。
名古屋で、この曲こんな振りがつくんだ、って驚いて。すぐに真似して。1番サビ終わりに天さんがOK!って体で表現した時にまた驚いて。中野2日目ではみんなやってくれるってわかってたからなのか、最高!になってたり。
切ない曲だと思っているのだけど、未来を見て前へ進んでいるのも事実で。
ラスサビ終わって今日は本当にありがとうございました、って言うもんだからこれで終わりかと一瞬思ったんだけど、まだ一曲残ってるものね、まだ終わらない。
ここのトークも短めだったけど、中野2日目は長くて。1日目で言っていた事を改めて宣言していたり。来年の目標は楽しむ、好きな事を仕事にしているのに、楽しんだ方が絶対にいい、みたいな事を。
そしてまた、あの言葉を、終わりたくない、と言う言葉を聴いて。自分がずっと思い続けていた事を、ここで形にしなければならないと、決意を改めて。
本当に最後の曲として始まるのは、攻めを象徴するこの曲。
20曲目:Silent Sword
攻めに始まり攻めに終わる。Aggressive SKYの名に違わぬライブだった。
天さんは自分自身の行動で、己の剣を磨いているのだろうな、と。自分の姿勢を曲げない、むしろその輝きは増していく。
自分の意志という剣をずっと手に、進んで行ってほしいと願うばかりです。
唯一中野2日目でだけ、生声で「今日は本当にありがとうございました」と叫んで。
でも、でも、でも。Aggressive SKYをここで終わらせてはいけない。見た事ない世界を、切り開きたかった。
もう一回!もう一回!
自然と声を出していて。言葉は波紋のように広がって、ステージを越えて向こう側へと伝わる。そして三度点いた光が、夢が叶った事を教えてくれた。
ダブルアンコール
もう一曲、みんなと一緒に歌いたい。
21曲目:RAINBOW
広がったのは誰も見たことのない、虹の彼方。
最後の最後をこの曲で締めることができるんだなと思うとすごく嬉しくて。やっと叶ったダブルアンコールでRAINBOWでみんなで1つの世界を作って。
間違いなくこの瞬間、目に映った虹は1つで。
終わりたくない、よりも、この先にあるものを見たいという思いの方が強くなっていた。
曲が終わって、まさか、と思った。まだ零してない、っていうのがすごく、らしくて。
「今年もいろいろあったけど、今日のために頑張ってきたんだなって」
その言葉を聴いた瞬間に、中野1日目で言っていたこととか、リサイタルの時のこととか、雑誌のインタビューとか色々と思い出して、感極まってしまった。
来年も良くできる自信が湧いてきた、みたいな話をして。そして、もう一度。
「本当に!本当に!本当に!ありがとうございました!!!」
ありがとう、とこちらからも伝えて。
晴れやかな表情で、天さんは舞台から去っていきました。
全体感想
名古屋にたどり着いたあの日、現実のような気がしなかった。久々すぎるからなのか、怖かったからなのか。
久々の中野にやってきた時も、楽しみにしていたのは後半で。でも、終わった時は全てが楽しかった。
中野1日目の充実感がすごくて、2日目はこれを越えれられるのか、不安で。
今思えば、自分が初めて手にした曲から始まるライブって、贅沢じゃない。しかも後半にはASHからのMarvelous sceneもあって。この2曲が終わるたび、ASH・Marvelous scene(の流れ)は神、って思い。
大人パート、立てたのが中野1日目だけなこともあって、ちょっとこの日に特別な思いを抱いていたりもして。でも、2日目で、全員が座った状態になるとそれはそれで全然違うし、ここだけは本当に前日全く違う印象を受けた。ところで、座って、っていうのはリサイタルっぽいなと。なんだか、中野2日目には今年のいろいろな要素が散りばめられていたのかな、などと。考えすぎですかね。
チョ・イ・スFDは最高!だし。
ついに迎えられたダブルアンコールが何よりも嬉しくて。なんというかこう、去年含めて5公演分の思いを詰め込めた気がして。間違いなく、あの日は鎖ではなくなった。
RAINBOWの後の天さんの言葉が自分にもすごく刺さったのは、この1年が自分にとっても激動だったからで。だからあの言葉を聴いた時、自分も、この日を迎えるために頑張ってきたと、言える気がして。
そして天さんが言うように、お年が勝手に良くなってくれるなら、苦労なんてしない、自分の手で良いお年にしよう。
最後に、本当に本当に本当に最高の時間を作ってくれた雨宮天さん、スタッフの皆さんに感謝します。