およそ1年半ぶりにやってきたこの場所は、変わらず我々を迎え入れてくれる。暑いが。
まさかソロでここに来るとはな、というのが発表直後の感想で。しかし、それだけ変化を伴ってきたのかなとも思えて。
今回が3度目のライブ。7ヶ月という短いスパンだが、何がどう変わっているのだろう。
そんなことを考えながら今回は連番者と共に開演を待つ。
するとなにやら音響に変化が生じ始めて…
会場を包む雷鳴。ステージを白煙が覆うと、その砂煙からその人は姿を現す。
1曲目:エデンの旅人
このイントロを聴いた瞬間、ここまでのそれが全て演出だったことを知る。
おそらくMVの衣装で、この曲にしかない世界を作り出す。
砂漠の先にあるエデン、その名は。
2曲目:Marvelous scene
光速(はや)い。
美しい未来すぎた。
3曲目:Silent Sword
こう繋ぐか、と。
輝く切っ先の如き光が眩しい。
常に磨かれ続ける剣は静かに激しく目の前を切り裂いていく。
ようこそ、からここまでのセトリについて。
つぎはゆったり、としていくのは昨年末を思い出しつつ。
4曲目:RAINBOW
今回も虹が広がるのは早かった。
この曲にしかない一体感が好きで。
各々によって千差万別な光の束が昇っていく。
5曲目:夢空
虹広がる空から夢へ。
やっぱりライト含めた演出が大好き
6曲目:Fleeting Dream
夢から夢へ。
明日へ導く。
歌詞が妙に響いてくるんですよね。
キラキラ、の正体を少し見た気がして、なんだか水晶のような脆い輝きに思えた。
あれがなくて寂しいな、と思っていたら最後にあった。
ダンサー紹介を経て始まる雨宮天のエンターテイメントショウ。
7曲目:irodori
出てきたセットから曲を予想する。イントロがその正しさを教えてくれる。
agressiveのそれと違い、自信に満ちていて。居場所を手にした歌姫に見えた。ハットが素敵。
マイクがMVのそれ。
8曲目:Shu!Bi!Du!Ba!
まさに絶頂期。存在そのものが空間を支配する。
初となるヘッドセットで、舞台を駆け巡る様はまさにスタァ。
9曲目:羽根輪舞
一転して、舞台は舞踏会か?
周りが踊る中、1人何かを待つ。背の向こう、窓の外には雨が降っている気がした。
傘や男装のダンサーがこれまでの演出のハイブリッドな感じでとても良い。
10曲目:誓い
専用アレンジから始まる。
2番で初めて元の曲に戻るのが、どことなく何かを思い出させたり。
舞台を照らす唯一の光は、どこか月灯り的でもあった。そのあとで、夜空になるのも含めてね。
11曲目:GLORIA
MCから繋がり流れてきたのはこの曲。
それすら含めてこの曲の世界を表現したのでは、と思うほど、ここ以外には考えられない位置で、この曲が持つ意味を見せつけられたように思えた。
日々を強く生きていく、そう、決意させてくれる。
12曲目:Trust Your Mind
ここからは後半戦、と始まったのはアニソンっぽい、特にロボアニメのような疾走感のあるこの曲。
どことなくマベに似たサビのフリが癖になる。
13曲目:Eternal
なんだかんだで一番聴いている気がするこの曲。
ライブになると音響のせいか弦っぽくなるのが好き。
14曲目:Abyss
ここが初になると思われるこの曲。前曲とのシームレスな繋ぎが見事。
Glitterなどで見せていた鬱屈とした雰囲気が、さらに深まり苦悶に近いような。その中で絞り出した言葉をぶつけられるような感覚で。
15曲目:Velvet Rays
意外な選曲。
サビのフリに、これだよこれ、と感じるのは意外とつき合いが長い曲だからかもしれない。Headwindからもう2年ですか。ずいぶん遠いところまできたなあ。
16曲目:ASH
あーきちゃったよ、とイントロで悟る。
多分今までで一番声出したんじゃないですかね?
その名の通り、灰になるまで魂と魂をぶつけ合う。
17曲目:Breaking the dark
これはいけない。
最後の曲として流れてきたイントロ。一番聴きたかった曲が一番聴きたい流れできてしまった。
ASHマベと同様にASHBtDは強すぎる。
フリも良いしテンションフォルテッシモだし最高だな。
どことなく感じていた某所っぽさはライブでさらに強まったなあ。
アンコール
18曲目:After the tears
1stだ… と思わされたこの位置。
正確には違うのだけど、感覚としてはだいぶ近い。
唯一、彼女自身であるというこの曲は、いつも力をくれる。まさにそうであるように。
19曲目:チョ・イ・ス
逆に2ndを感じるのがこの曲。
ここから始まるtour、そのクライマックスへのプロローグ。
20曲目:Lilas
こうして聴いて、初めてその可能性を理解する。
確かにこの位置に入る曲だな、と。
フリも真似しやすくて楽しいし、可視化されて一番変化を感じた曲かもしれない。
またいつかこの舞台で。
全体感想
すごい。あれから半年ちょっとだが、ここまで変わっていようとは。
個々の良さを最大限引き出す演出、歌声、姿。そしてダンサーさんによる世界の拡張。
まさに、The Only SKYなのだということを実感するライブだった。
個々もそうだが、セトリの組み方もとても良い。エンターテイメントショウもまさに、という順番だし。特に際立っていたのはTrust Your MindからBreaking the Darkへの一連の流れ。
進むという意思を信じ、新世界を目指す。だが途中、深淵へ落とされるほどのできごとが起きてしまう。これではダメだと自分自身を奮い立たせ、再び光を目指して歩き出していく。黒く染まった自身はだんだんと灰に近づき。その中で自分の中にある願いを受け入れ、遂に闇を払って光へ手を伸ばす。
なんと想像力を掻き立てられるセトリなのか。恐ろしいほどに見事な采配である。
これがどう変わっていくのか、とても楽しみ。
次は大阪、あの場所への回帰。一体何が待っているのか。
最後に、雨宮天さん、スタッフさんに感謝を。