ZR’s Log

Twitterで書くには長過ぎる話を置いておく場所。TrySailからクウガやゲームまで、思いついた事をメモのように書き連ねていきます。

LAWSON presents 第2回 雨宮天 音楽で彩るリサイタル 大阪公演 1回目

 この日の話をする前に、ここに至った経緯を記しておこうと思う。

 

 予感が現実に変わった新潟。日程を聞いた瞬間に感じた危惧は、日が経つごとに現実に変わっていった。結局東京公演には参加できなかった。幾度も話に出ていた東京ブギウギを聴けなかったのは惜しい。それだけではない。大阪公演もまた、スケジュール的に微妙だった。

 だがそこに飛び込んできたのが、先日のサプライズ告知であった。何時ぞやの話ではないが、自分にできるだけの無理をして参加する。期せずしてその思いで向かう先は再び大阪。

 

 現地に着いた瞬間、独特な感覚に襲われる。いつもとは違う高揚感。リサイタルに対する想いの表れだろうか。

 古ぼけた劇場のようなベルと共に幕が上がる。刹那飛び込む青いドレス。

 『北ウイング』をまるで自分の曲のように歌い上げる、という違和感がリサイタルが始まったことを教えてくれる。知らぬ間に引き込まれていたのだ、現在と過去と未来が交差する霧の街に。

 決まった未来に住むものにとって現在は過去だが、その逆も然り。未来は決まっているとされても、現在にとっては不確定。だからこそ未来である。『迷い道』とは言うけれど、迷うことこそ未来を選ぶことかもしれない。ところで、ちゃんと御堂筋線で最寄りまで行かなかったので、Zepp Nambaの場所を探すのに少し迷ってしまった。

 幕間はやはり、曲との出会いや思い出をすらすら語ってくれた。これが非常に楽しみな部分で、というのもパーソナルな部分の語りとイコールだからだ。そしてこのときの表情が強く胸に刻まれている。あの時と同じ、いやあの時以上の優しい顔。そうさせてしまうほど今日の曲たちもまた彼女を形作る一部なのだということが、伝わってきた。

 『雨の御堂筋』 …?いや、暑かった。だが場内ではある意味雨が降っていた。舞台を照らす光の乱反射が、雨粒を見るように。現実に雨が降ってしまっていたのはもう遠い記憶。

 間違いなく、リサイタルは特別な時間だ。彼女が好きなものを知ることができる、大げさに言えば心許されているような時間。『SWEET MEMORIES』を歌うに際して口にした言葉への答えは、こんな感じだろうか。

 最近一番聴き慣れている『ウイスキーがお好きでしょ』は少しアレンジが違ったが、というのは竹内まりやさんver.だからとのことだった。竹内さんというと某ラジオの夫婦放談での優しい喋りの印象が強いが、今日の天さんからも、そんなものを感じ取ることができた。

 あまり洋楽に造詣のない私だが『Yesterday Once More』は聞き覚えがあった。どこで聞いたのかはもう覚えていないほど昔のことなのだろう。歌詞を読み解くのは今回が初めてだったが、どこか通ずるものがあると感じた。不確定な気持ちを、確定させてくれるような時間に微睡む。

 ここで、サプライズの話に移る。自分から言ってしまって何がサプライズなのかと思わないでもなかったが、次に出た言葉がそれを覆した。雨宮天作詞作曲の楽曲がある。それをここで歌うというのだ。発言の意味を理解するのに少しかかってしまうほどには衝撃だった。どこか望んでいたのだ、彼女自身の手で0から表現された世界を目にするときを。その時が、今なのだ。

 『火花』と名付けられた歌は、このリサイタルに触発されたものだという。そのあまりにも甘美な世界は、一瞬の激情に満ちていた。

 燃える想いを消すように降る雨。だがどこかまだ燻ったまま。『雨の慕情』は謀ったかのように火花を鎮火する。

 橘さんによるピアノが彩ったここまでの5曲。リサイタルの特異さの一つであり、欠かせないものでもある。一音一音の響きが表現であり、鼓動のようだった。

 盛り上がる曲ということで、立ちとブレードがまさかの解禁。『飾りじゃないのよ涙は』と『フレンズ』を激しく歌い上げるのだが、これまでと表情が一転。一瞬にしてキレのある強さに満ちた表情に変わっていた。この2曲で特筆すべきことは他にもある。ハモリだ。なんとも綺麗な歌声だった。

 最後はリサイタルシングルより『VIPER』なのだが、タイプライターを叩くような子気味良い旋律のピアノが乗ることで、彼女の毒々しい振り付けと曲の対比が際立つ。

 

 雨宮天がやりたいことをやるイベント、であるはずなのにそれを楽しめるのは近しいものがあるからなのか、というと少し違うと思う。望んでいるもの、彼女が進む未来を見たい。だからこの先で何があっても受け止められると思うのだ。

 でも3回目のリサイタルも見たい。と少し欲を見せたくなるようなイベントだった。

 

 

 最後に、最高のリサイタルを作ってくれた雨宮天さん、スタッフの皆さんに感謝します。