ZR’s Log

Twitterで書くには長過ぎる話を置いておく場所。TrySailからクウガやゲームまで、思いついた事をメモのように書き連ねていきます。

ここにしかない世界で

 あの日に還りたい。もう2年半近く前のできごとである。そのはずなのにやけに鮮明で、どれだけあの空が濃かったのかがよくわかる。
 こんなことを前にも思ったことがある。そう、1年3ヶ月前。2度目の舞台の幕が上がろうというそのとき。
 だがその時と今とでは、違うと言い切れる。気づいてしまったから、心で捉えるべき、本質に。
 でもまあ、還りたくないと言えば嘘なのだ。ただそれは、寄り道くらいでいいのだと思う。

 

The Only SKYを振り返る

 参加したのは、横浜大阪神戸中野1日目中野2日目

 今振り返っても、中野2日目の参加は奇跡みたいなものだったと思う。Aggressive最終日のあの言葉をずっと胸に抱いて歩き続けてきた。その道が、ここへ繋いでくれたのだろう。だからこそ、ただただ楽しむことができたのだろう。

  そんな日を、こうして映像作品として振り返ることができる。なんと素晴らしいことか。ということで、映像のある中野2日目を軸に、このライブを振り返ってみようと思う。

 

1曲目:エデンの旅人

 今思えば、会場に響く雷鳴と呼応して明滅するライトは、世界が繋がっていく様を表していたのではないだろうか。旅人が、理想を探し求め歩み続ける中で、繋いだ世界がこの舞台。異世界へのアクセスという常軌を逸した力がこちらの世界に波及して歪みをもたらす。そうして突如現れるのが、旅人・雨宮天

 MVとのリンクではないが、真っ青な客席は海のようである。しかしステージ上はスモークに、雲に覆われ。旅人はその上に立ち。そして太陽が輝く。

 天と地、圧倒的な距離感があるようにも思えた。

 

2曲目:Marvelous scene

 地上へ降りてきた旅人は、素晴らしい瞬間を求めて。

 ライブという瞬間を決定づけるかのようなこの曲の位置がなんとも良い。

 

3曲目:Silent Sword

 拳を突き上げる姿は、まるで統率者のようで。

 剣を振り回すような振りや、ダンサーさんへと連鎖してく振り、どれもが鋭く。

 自分自身という武器、剣を思う存分使いこなしている曲だなあと思うのだ。

 

4曲目:RAINBOW

 多様性を受容するとでもいうのだろうか。

 舞台も七色に輝き、この空間にあるものすべてが肯定される。

 

 5曲目(横浜、神戸、中野1日目):夢空

 この曲のフリが好きなんです。

 もう一つ欠かしてはいけないのがライト。歌に呼応して空の色が変わるのか、空の色が歌を変えるのか。歌詞だけでなく、それを紡ぐ声の、更に言うならそんな声にさせる心の色を、空が的確に表している。

 見上げているということは、足は止まっているのだけどそれは自分と向き合っているからで。空の色は自分の心持ちで変わり、だからこそ見上げれば今の自分がわかる。そうしてある種自分を俯瞰している空があるからこそ、未来へ信じて進んでいける。

 

5曲目(大阪、中野2日目):Glitter

 Agglessiveの時もそうだが、この曲が絡むと表情の変化にいつも驚かされる。

 前曲の笑顔から一転、鬱屈とした表情を見せる。一瞬で世界が変わる感覚が本当に好き。

 舞台を照らすライトもなんだか混沌としているのだが、ついにはしっかりと先を照らしてくれるのだ。

 

6曲目:Fleeting Dream

 キラキラしている、と言われた曲がGlitterの後にくるというのがニクい。

 この曲は特にダンサーさんが輝いている曲だと思う。キレッキレのダンスが魅力的で、この曲には欠かせないなあと思うのだ。

 

7曲目:irodori

 所変わって、小さな舞台。誰にも望まれぬ歌が始まる。それは自分すら、だ。

 だがそれすらも踏み台にしてしまおうという、未来への強い意志が感じられる歌でもある。与えられたものをその通りに演じつつも、反逆の時をうかがっている。そして最後には観客を味方につけて自分の色に染め上げてしまう。

 歌い方がかなり擦れていて、感情の鋭さが表に出ているとでもいうのだろうか。

 ここから始まるエンターテインメントショウが如何なるものなのか、ありありと示すオープニング。

 

8曲目:Shu!Bi!Du!Ba!

 反逆が成功して、舞台の頂点に立ったかのよう。それでもその欲は尽きることがなく、スポットライトを探し続ける。

 雲が太陽を覆う。普通ならマイナスなイメージだが、ここでは違う。誰にも当たってしまう光が失せ、彼女だけに、光が当たる。

 

9曲目:羽根輪舞

 そんな彼女はいつしか世界に必要とされなくなっていく。かつての輝きは見る影もなく、誰も彼女のことを見向きもしない。

 だがここまでしてきたことは間違いだったのか、と言えばきっとそうではないのだろう。彼女は歌を信じて生きてきて、それがこの現実を作り上げた。だから後悔もなく、自分の思いを歌に乗せられる。

 

10曲目:誓い

 舞台から降り、夜空の下で一人歌う。過去に思いを馳せたような歌詞。

 これが結末かと言えば、違う。まだ見ぬ夢に向かって、彼女の歩みは止まってなどいないのだから。

 

11曲目:GLORIA

 先のMCを聞いて、この人がいく先にどんな景色が待っているのか知りたい、という思いが増した。そして、どんな景色でもきっと楽しめるのだろうな、とも。

 

12曲目:Trust Your Mind

 アニソンっぽい、そう、ここから始まる物語のOP。

 サビの素早い振りが好きなんだけど、結構複雑な動きなので真似しにくい。でも流行ってほしい。 

 

13曲目:Eternal

 まさに暗闇のようなステージが美しい。

 サビ終わりの手のひらをゆっくりと下ろしていく振りと表情が、永遠から抜け出せない、届くようで届かないもどかしさを表しているかのようで好きなのだ。

 

14曲目:Abyss

 永遠から抜け出せず、光なき深淵へと落ちる。

 周りにはないにもない、自分だけ。だからこそ今まで聞こえてこなかった自分の声が聞こえてきて、ああこんな単純なことだったのか、と自分が自分を捕まえる。

 

15曲目:Velvet Rays

 自分の中に見つけた光を2度と離さない。

 闇も光を受け入れて、自分を肯定して前へと進んでいく。

 

16曲目(横浜):ASH

 何よりもこの曲を表しているのはイントロだと思う。悲壮感というか、悲しみを抱えながらも再び立ち上がる、そんな音。

 こういう劇伴を聞いたことがあって。仮面ライダークウガの意志(M-58)だ。印象的なのは「EPISODE 10 熾烈」タイタンフォームでギイガに歩み寄るシーンに保育園で働く妹のシーンがラップする… この前のシーンで、悩む妹へ「お前はどうして先生やってんだよ?」(間を空けて)「誰かの笑顔のためだろ?俺は俺の場所でお前はお前の場所でやってるってだけさ」と言う。それがどことなく、自分への言い聞かせのようでもあって。それを経て先のシーン、兄妹が重なる。退かず、ギイガへ向かって進み続ける姿は彼の決意そのものを感じて。まさに、「朽ちること恐れない 灰になるまで」なのだ。だが最後のクウガの叫びが、その正しくなさを表しているようで。

 力強い拳、決意秘めた瞳。その裏すら感じさせる、強すぎる姿がいつも心に響くのだ。

 

16曲目(大阪、中野1日目):Absolute Blue

 この曲が、大阪と中野で歌われた、その事実が頭を揺さぶってくる。

 やはり真っ青であるべきだと思うのだ。これまでの道も、これからの未来も、必ず青がある。

 変わっていく中にある、変わらないものだと個人的には思っている。ライブを最初からずっと彩ってきた、だからこそ、ライブの上では、この曲が過去と今と未来をつなぐピースであると思ってしまうのだ。

 

16曲目(神戸、中野2日目):Skyreach

 神戸で歌われたこの曲は衝撃だった。GLORIA前MCで4年間を振り返り、5年目とその先を見据え。そして始まった始原の歌。あれほど美しい世界はない。

 中野2日目、この曲が導いてくれる気がしていた。

 

17曲目:Breaking the dark

 個人的にはASHに近しいものを感じていて。どちらかというとこちらの方が勇猛なのだけど。

 誰にも侵されない、自分の意思、世界。信じたものを胸に突き進んでいく強さ。

 サビのまさに歩き出すような振りが大好き。

 

アンコール

 

18曲目:After the tears

 日によって違う表情をしていたが、最後には涙の後だけ。

 受け取ったものは、大事にしていこうと思います。

 

19曲目:チョ・イ・ス

 選んだものがどんな未来に繋がるかはわからないけれど、素敵なクライマックスを信じている。いや、信じていられるという方がいいかな。

 

20曲目:Lilas

 この曲で締めるというのがいいよね。

 楽しそうで、楽しくて。またここに戻ってきたい。そう、在れるように。

 

ダブルアンコール(中野2日目)

 この声は届くのだろうかと思っていた。終わりだとは言われたけれど、何か、終わってほしくなかった。ただの我儘。

 

21曲目:Fleeting Dream

 キラキラしていた。不可能を可能にした時間は、なんだか幻のように、淡い輝きとともにあった。

 人の想い、願い、そんな感情が作り出した世界は、「儚い夢だとしても、明日を照らす一筋の光」なのだと、ずっと消えないのだと、思えた。

 

 

 最後に、最高のライブを作ってくれた雨宮天さん、天ちゃんダンサーズ、スタッフの皆さんに感謝します。