この日は雨の予報だった。
そういうことを意識しないくらい最近は晴れている。だからこういうことがあると少し、懐かしい気持ちになる。
降り始めたのはちょうど、開場時間を迎えようというその時だった。
すっかり隔年での開催が恒例となったリサイタル。少し特殊だった第三回と違って、今回は今まで通りのZepp開催、東京・大阪2ヶ所での公演に戻った。
今回の会場は、そんな第二回で訪れたZepp Namba。そう、火花の1番が突如披露された、あの場所。
セットリスト
1.喝采
2.お祭りマンボ
3.初恋
5.都会逃避行
6.イミテイション・ゴールド
7.難破船
9.あなたに逢いたくて ~Missing You~
10.悲しい色やね
11.君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。
12.TRIGGER
全体感想
今回は頭からカバー曲を歌って飛ばしてきた。やっぱりこの開幕の衝撃がたまらない。それでいて導火線の衣装を着てくれているのがいい。
何と言っても特筆すべきはバイオリンの存在で、甲高い唸りのような音が、歌をバチッと引き締めてくれる。
セトリはやはりというか、私でも知っているような有名な曲から天さんの好きが押し込まれたものまで様々。個人的にすごいなと思ったのは4曲目の君は薔薇より美しいだ。やはり曲はわからなかったわけだが、何だか歌い方が布施明さんっぽい(少年よくらいしか馴染みがない)。まさかと思っていると、後のMCでその通りだったことがわかる。それがどこかカラオケっぽくて、原曲へのリスペクトに満ち溢れている様も感じ取れて、第四回にしてやっと天さんの歌謡曲への愛の深さを理解できた気がした。
4公演あるのでもしかしたらと思っていたが、導火線の収録曲はTRIGGERを除いて1公演につき1曲のみ。今回は都会逃避行だったのだが、振り付けがついてこの曲の世界観が深まった。手を伸ばす姿は、どちらかというと手を引かれているように見えて、逃避行とはつまりそういうことだったのだなと、個人的に腑に落ちた。
カラオケなので演出は控えめだが、それでもライティングは曲によって様々で、曲の特徴を引き出していた。それをとても感じたのはイミテイション・ゴールドだったように思う。できる限り照明で金に近い色を出している感じというか。まさにイミテイションなわけである。
幕間はピアノとバイオリンが彩る。MCでも触れていたが、インストゥルメントとしてアレンジされた火花は見事だった。先に述べたが火花はここが初出。それが巡ってリサイタルを彩る楽曲になっているのだから感慨深い。
衣装を変えて最初に歌ったのは難破船だったが、衣装自体のモチーフもまたそれだという。映像を見てみると、なるほどなという感じである。
リサイタルなので当然場所にちなんだ選曲があり、大阪公演であるこの日は悲しい色やねが選ばれた。
MCは変わらず曲の話をしてくれるのだが、本当にこれが良い。好きを語る姿は、いつ見ても輝いている。
最後はトリガー!して(違う)締める。2月のTrySailライブでも聞いたが、生演奏が入るとまた雰囲気が変わって良い。
今まで別日があるリサイタルはどちらかしか行けなかったので、日を改めてもう一回、というのは何だか不思議な気持ち。東京公演はどんな曲が来るのか、何を語ってくれるのか楽しみだ。
最後に、最高のリサイタルを作ってくれた雨宮天さん、スタッフの皆さんに感謝します。